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日常の呟きから小説裏話まで
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空想工房・会誌「カケラ Vol.01」感想まとめ


 主催を務めさせていただいておりますサークル「空想工房」の会誌第一号、「カケラ Vol.01」の感想をツイッターで呟きましたので、こちらにまとめておきます。



「初弟子」 泡野瑤子さん

…怪我により休養中の剣士ジェラベルドに剣を教わる少年トート。
 おおっ? 意外な組み合わせだ、と思いながら読み進めると、「初弟子」というタイトルに二重の意味が込められていることが分かって「すごい!」ってなりました!
 ジェラベルドはとにかく武骨で口下手(^^ゞ でも、とても誠実なので言葉に重みがある。そのジェラベルドを師匠と仰ぐトート少年はとても賢くて、しかしそれを決してひけらかさず、更に色々と細やかな気遣いの出来る少年。年齢差は親子ほどですが、実にいいコンビです(^^)/
 この「初弟子」には名前だけ登場するシノ団長と、ジェラベルドの愛娘ラウラちゃんも加わって四人になると、更に面白いことになるのですが、それは泡野さん個人誌「剣士と赤竜」でお楽しみいただけます!!(ダイレクトマーケティング) 娘にたじたじのジェラベルドがかわいいんだ、もう。
 おっと話が逸れた(^^ゞ 「初弟子」では赤竜討伐団の副団長として歩んできたジェラベルドの半生と、思わぬ深手を負ったことで改めて抱いた感情、そして家族への思い、「英雄」ではいられなくなった彼の葛藤が痛いほどに伝わってきます。言葉少なだからこそ、深く静かに伝わる思い。それらを受け止めて、そして彼の「お願い」を受け入れたトート少年もまた只者ではないのですが、この「お師匠様と初弟子」のコンビは、ゆっくりと、でも着実に未来へと向かって歩いて行くんだろうな、と思わせるお話でした。
 「剣士と赤竜」の続きは秋のテキレボで読める、はず?(泡野さん曰く「神のみぞ知る」とのことですが期待して待ってる☆) とっても楽しみです~!



「魔法使いの弟子たち」 かんじさん

…今回の「カケラ」唯一の漫画作品。(実は私も、本当はもっと漫画・イラストが多いと思ってました(^^ゞ)
 「でんがな・まんがな」コンビはかんじさんのオリジナル漫画「バリミアモンド」に登場する愛すべきキャラクター達です。悪巧みは下手なのに漫才は上手い(笑) もう君たち魔王軍やめて旅芸人やってる方がいいんじゃない? という(笑) 子達なんですが、「魔法使いの弟子たち」でも実に悪い顔して狡いこと企んでて、実に可愛いです(笑) 何がいいって、この子達ちっとも懲りないんですよ(笑)
 彼らにはどこまでも、険しく厳しい芸の道を突き進んでいただきたい所存\(^o^)/
 そして元の漫画「バリミアモンド」は2013年に完結しているお話なので、思いがけずまた彼らに会うことが出来てとても嬉しかったです!



「ホンモノの魔法使い」 小田島静流

…拙著は抜かそうかと思ったけど裏話など(^^ゞ
 「ホンモノの魔法使い」は、ずっと前から温めていた「実際に魔法が存在する世界での、奇術師のお話」です。「魔法なのかトリックなのか分からない」レベルまで極められた奇術。でもどんなに観衆を湧かせることができても、自分だけは騙せない。そんな境遇の主人公が、たまたま立ち寄った村で出会った子供と、戯れに交わした約束。そしてその結末。
 「トリック」だろうが「魔法」だろうが、人を魅了することに変わりはない。そのことに気付いた主人公は、ようやく本当の意味で「魔法使い」になれたのだと思います。
 そしてこのお話、割と早く書き上がっていたのですが、タイトルが全然浮かばなくて、どうにもならずに阿波さんに助けていただきましたm(__)m その節は大変、大変お世話になりましたああああああm(__)m
 ちなみに仮題は「マジック」でした。そのまんまじゃん!!!



「ボクが魔法使いの弟子になるまで。」 琉桔真緒さん

…夢だと思ってた世界から、なんかついてきちゃったー(@_@;) という衝撃のスタート。甲斐甲斐しく世話を焼いている辺り、主人公の人柄がにじみ出ていてほのぼのとします。しかし夢はコントロールできないもんねえ(^_^;)
 思いがけず「魔法使いの弟子」になることになった主人公くん。実は彼と「ついてきちゃった」ちっちゃい子が、「カケラ Vol.01」の表紙・裏表紙を飾っている子達です! かわゆい! ……ということは、裏表紙にいる髪の長い人こそがお師匠様!! 魔法使いへの道は険しそうですね……がんば!!



「電器屋の弟子」 都岬美矢さん

…大手家電量販店に押されて、最近は本当に少なくなった「町の電器屋さん」。地域に根差した電器屋さんの店主と、故あって従業員になった甥のお話。
 なんといっても近所の瀬谷ばあちゃんがいい! まとめて「ちゃん」づけなところがさすが!
 時折不可解な行動が目につく甥っ子・祐くんの飄々としたキャラクターと、店主・廉の気苦労をしょい込む性質が、これまた大好物です……! しかしこの昇級試験、受ける側も監督する側も大変だなあ……。そしてさらりと書かれてたけど、魔技2級ってもしかして結構、上級なのでは?? 
 昇級試験に合格した祐くん、まだまだ鍛錬は必要そうですが、将来的には有能な右腕になってくれるんじゃないかと期待……。それまでに何度、廉さんは肝を冷やす羽目になるんだろう、という気もしますが(^^ゞ



「大魔法使いは黒猫が大嫌い!」 伊崎美悦さん

…高名な魔道師として名を馳せている主人公ヨハンと黒猫・ガーレルの凸凹コンビがいい味出してます!
 さらっと出てきたけど喋ってるよこの猫!! と驚きながら読み進めていくと、ヨハンとガーレルの秘密が徐々に明らかに……。
 代々、魔法が使えない家系のヨハンが魔道師として活躍している、真の理由。それを何となく察している様子な経理担当・クラースがまたいい味を出してます。どこまでも嫌味(というかツッコミ)を忘れない彼(笑)
 そしてどんどん住める街が減っていく主人公ズ。「呪い」が解ける日は来るのか!?




「魔術士ガルシア・アレインの弟子」 孤伏澤つたゐさん

…ゲスト参加してくださったつたゐさん。実はツイッターで「魔法使いの弟子」というフレーズに反応をいただいていたので、ダメもとで突撃してゲスト参加していただきましたあああ!!! ありがとうございます!!
 このお話の何が凄いって、話の紡ぎ手である「ガルシア・アレインの弟子」を通して語られる「先生」と、彼らが住まう世界の、圧倒的存在感だと思うんです。とにかくひたすらに、主人公は「先生」を語る。自身についてはほとんど語らないのに、浮き出てくるのは主人公の輪郭という……。
 「先生」に認めてもらいたいために、恐ろしいほどの研鑚を続け、気の遠くなるほどの時間と手間をかけて……その果てに生み出されるものへと思いを馳せる。狂おしいまでの想いが伝わってくる、そんなお話です。
 つたゐさんファンに是非読んでいただきたい!!



「最後の弟子」 KaLさん

…こちらはイラスト作品。KaLさんの漫画「Radwair Cycle」に登場する魔導師リヴェンと、その弟子カルバのかっこいいイラストです!!
 「Radwair Cycle」は「滅びた国の物語」。龍の血を引く女王が統治する国・ラドウェアの衰勢を、後世の吟遊詩人が語っている形で綴られています。そしてリヴェンとカルバは、ラドウェアが滅びてから二百年以上後の時代に生きる魔導師。どうやら秘密があるようですが……?
 ちなみに、この世界の魔法は何種類かあるのですが、特に「描紋系魔法」と呼ばれる魔法がすごくかっこいいんですよ!!  魔法の紋を描くことで効果を引き出すんですが、空中に描いたりするんだぜ!! 超かっこいい!!





 以上、メンバー6作・ゲスト様2作の計8作品が揃い踏みの「カケラ Vol.01」、お買い逃しがございましたら通販(BOOTH)も受け付けておりますので、どうぞよしなに~\(^o^)/(ダイレクトすぎるマーケティング)

覆面作家企画7・Aブロック感想


 参加させていただきました「覆面作家企画7」、正解発表が終わったので、自身が参加していたAブロックの感想をば!

 ※ちなみに、こちらは正解発表前に書いています。

A01 これは災厄の物語?
 …クレーム対応から窺える、主人公・大場さんの人の良さ。しかし、人形だと思っていたのが生身の少女だった衝撃も冷めやらない状態での、いきなりの求婚には、そりゃ呆気にとられるしかないよなあ(笑)
 「まずはお友達から」という展開で落ち着くのも、大場さんの人の良さがあってこそ。でもこのまま、なんだかんだでハルヒちゃんと上手く行くんじゃないかなと思ったり(^^ゞ
 
A02 国境いの灯台守
 …おおファンタジー! 孤独な灯台守いいねー! と思ったらまさかのSFだったー!! 主人公らの正体が判明してからそこまでを読み返してみると、思い描いていた光景がまったく違うものに! 秀逸すぎてビビりましたとも!
 ちなみに、脳内で想像した主人公たちの姿が、「ガープス・ルナル」の〈多足のもの〉だったことは内緒だ!

A03 あの、透明な水を、この手に。
 …「彼女」が天然なのか、それとも計算ずくなのかで、また印象が変わるお話、かな。 

A04 After Pandora -溺れゆく希望-
 …一度壊れてしまった後の、緩やかに溺れゆく世界のお話。
 分かってはいるけどみんな口に出さない、希望という名の絶望。静かに、まるで寄せては返す波のように、穏やかに紡がれる希望と絶望が、物語を形作っている。それでも最後に、希望を口にする少女たちは、強いと思う。

A05 花は地に落ちて
 …交差する運命と思惑が、全て不幸な結末へと向かってしまって、どこかで何か一つ変わっていれば、幸せな結末があったのかもしれないと思うと……。現実を見据えて絶望に沈んだ姫と、どこまでも愚直な紀昭との、掛け違う思いが切ない。

A06 蛍火
 …幼き日の約束を、互いに、実直に覚えている辺りが微笑ましく、さりとて幼き日の様に無邪気にはいられないのが辛いところ。
 改めて交わされた約束を守れる日が早く来ることを願う。

A07 ちいさな魔女とフローライトレンズ、祈り
 …カメラという小物が効いている。なぜエドが襲われたのかがちょっと読み取りにくかったのだけれど、時間を巻き戻され、思いがけず若返ってしまったエドは、ヘリオを責めもせず、「折角若返ったんだし」とおしゃれを楽しんでみせたりして、そんな「大人のおちゃめさ」がまたいい。
 ヘリオの前日談とか世界設定の説明なんかも入れて、もっと長いお話に再構築してくれないかな~。

A08 HIKARI
 …自作なので割愛。開始早々、ばっちり特定されてて「参った!」としか言えませんがな(^^ゞ
 「ライトがおちゃめ」「シリアスな話してるのに、時々ノリが軽いライト」「後日、アンジェリカが訪れた時はきっとショックだろうな」「実は最後のくだりも、ライトお得意の自虐ジョークだったというオチかも」という感想などなど(笑)

A09 御嵩城幻夢伝
 …天下を取りたければ娘を差し出せ、とは、なんとも辛い決断を迫る蛇神だ……。結果、決断を鈍った重則は戦に負けて自刃、その事実を知って胸を痛め、身を投げ出した松姫をまんまとせしめて、更に強者を探し求める蛇神……。
 歴史に詳しくないのでネットの力を頼りましたが、御嵩城には、森長可が度々攻めこんだが井戸から大蛇が霧を出して阻み~、という伝承があるんですね。

A10 光をこの手に
 …能力を持つのが当たり前の世の中で、何も能力を持たない主人公。あからさまに虐げられはしないけれど、いいように使われたり、嘲笑されたり、という息苦しい毎日が、強盗事件&彼氏の思いがけない研究により、意外な事実が判明していく流れがテンポよく、読んでいて楽しい。あと最後の「なんで光じゃなくて闇なの!?」という追及に対する彼の答えが、実に微笑ましい(^^ゞ いやはやアツいねまったく。




 感想の中で「Aブロックは世界が大変なことになり過ぎ」って書かれていたのですが、確かにその通りでしたwww
 

テキレボアンソロジー「猫」感想まとめ


 ツイッターでちまちま書いてたテキレボアンソロジー「猫」の感想、まとめました。(随時追記していきます)

『「訣別の宵」抄』 野間みつねさん(千美生の里)
…うわー! うわー! 沖田君と猫! なんて素敵な構図……!
 タイトルにある通り、まさに決別の夜の、静かなお話。土方さんの覚悟。沖田君の覚悟。それぞれ、凛として、そして切ない。

『ニフーを待ちながら』 間川るい子さん(羊網膜傾式会社)
…書店に猫! 幸せな構図……!!(うっとり)
 あちこちで目撃されているのに、どういう訳かつかまえることのできない不思議な猫。名前の由来がまさかの○○(ネタバレ防止)とは!

『ネコは、怒っている。』 せらひかりさん(hs*創作おうこく。)
…起きたらいきなり違う姿になっちゃってたら、そりゃもう大パニックになるわな。猫は猫だからこそ猫なのだもの(何を言っている)。しかし怒り方がもう、かわいすぎる!

『ピートの葬送』 凪野基さん(灰青)
…タイトルからして気になってたお話。ちょっとAIBOを思い出してしまった。新しい「生まれ変わり」の形、だなあ。
 「彼」の詳細がまったく語られていないけれど、物語の中からさりげなく読み込むことが出来る。完全版読みたい!

『世界で一番かわいいこ』 まるた曜子さん(博物館リュボーフィ)
…無邪気すぎる「なあ」に振り回される「まお」の奮闘記。「かわいい」だけでは動物を飼うことはできない。悩んで、手を尽くして、そして導き出した「方法」だからこそ、おじさんも折れたのだと思う。

『猫の言い分』 森村直也さん(HPJ製作工房)
…天使の歌声を約束されていたはずの『製品』がまさかの声変わり。当人にとっても周囲にとっても想定外のハプニング。自然とは何か。人は何処まで許されるのか。それは誰にも分からないけれど、大人になったキミにおめでとう。

『なんでもない猫の日』 青波零也さん(シアワセモノマニア)
…あああああ、南雲さんの心境と行動が痛いほどによく分かる!!(←猫好きなのに猫アレルギー)
 確かに猫又ないける、いける気がする! 見つけたら私にも是非モフらせてくださいませ……(揉み手)

『喪に猫を放つ』 坂鴨禾火さん(ねこまた会)
…最初はキャバ嬢の復讐譚かと思いきや(盛り髪すっげー!)段々と様子が変化していって、まさかの(ネタバレ自粛)!!!! 不思議な爽快感。きっと極彩色で賑やかで一秒たりとも飽きることのない地獄絵図が待っているのだろう。

『桜池の鈴』 Nagisaさん(Black69cross)
…しんみりと切ないお話。何を書いてもネタバレになるので自粛(>_<) 「気まぐれ」だの「わがまま」だの言いたい放題言われている猫だけれど、本当はとても賢くて、そして情が深いのです……。

『長靴を履いたスコの恩返し』 たつみ暁さん(七月の樹懶)
…タイトルを見て、一瞬「?」となりましたが、スコか! なるほどスコだ!! 尊大な態度も長靴を履いて立つ雄姿も、何もかも愛おしい♪ そして何という素敵で気の利いた恩返し。二十年で猫又かあ、頑張ったねスコ!

『猫の王』 孤伏澤つたゐさん(ヨモツヘグイニナ)
…雑然とした混沌の空間。たくさんの猫たちの気だるげな会話。世間から見捨てられたような場所に入り込んだ「ぼく」。におい立つような現実感と、どこか不思議な怪しさが混じりあう、そんなお話。

『奥州平泉猫騒動』 ひなたまりさん(時代少年)
…元気いっぱいな若奥様・那津が拾ってきた仔猫が、館に春風を吹き込む。仲睦まじいやり取りに、読んでいて思わず微笑みがこぼれるお話。雷を落としっぱなしの幼馴染・季春の苦労が忍ばれる(笑)

『溝になく花』 領家るるさん(うずらやの小金目創庫)
…女房に先立たれた悲しみを廓通いで紛らわせる甚一郎。一年の間支え続けてくれた花魁・梅井に励まされ、娘と向き合うことを心に決めて、美しく優しい夢は醒める。梅井の意外な正体(?)が、これまたしなやかに美しい。

『笑う窓』 烏合某さん(シャリヴァリ)
…「猫」という単語は後半に一度きりしか使われていないのに、もう冒頭からどこか猫の気配を感じる。にゃわにゃわ、という表現がこれまたいい。きっと媚びることのない、それでいて人懐こい猫ちゃんなんだろうな、とか想像してしまう。

『僕の守りたいもの』 Kyo-asuさん(goodycole)
…ある日突然いなくなってしまったご主人を探しに、マンションを飛び出した三毛猫のハル。人の姿になって町中を探し回るハルは、やがて『真実』に辿り着いてしまうのかな。可愛いくて、ちょっと悲しいお話。

『迷い猫の告白』 sunny_mさん(白玉)
…不思議な町に迷い込んで、ひととき人としての姿を得た「アタシ」。持ち前の「小悪魔っぷり」と「猫特有の執念深さ」で想い人の心をゲットする日は来るのか?

『白猫魔法店』 seeds(星明かり亭)
…拙作。
 アハハ、今頃表記揺れとか見つけちゃったい(>_<) 何故か一か所「ヌイグルミ」とカタカナ表記に……orz サイト掲載分は直しました!

『【まお】』 玖田蘭さん(創作サークル綾月)
…思い出の猫と不思議とリンクするアパートの隣人。「ガリガリ」「よろよろ歩く」というところが似てるっていうのがまた(^^ゞ そして猫のようにふっといなくなった隣人に対しての、最後の呟きがまたいい。

『その男、猫好きにつき』 亀屋たむさん(たむや)
…好き過ぎてあれこれ本末転倒になってる水澤君だけど、その気持ちわかるなあ(^^ゞ 嫌われたら生きていけない……。思いがけず接近してくれたりなんかしちゃったら、挙動不審になっても仕方ない! 頑張れ水澤君!

『黒ねこのしっぽを切った話』 壬生キヨムさん(cieliste)
…タイトルでギョッとしたらポエムだった。ここで描かれている「黒猫のしっぽ」はそのものズバリを指しているのではないのだろう。不思議なリズムと、どこか乾いた寂しさが漂う詩。

『相思相愛』 夜海月亭ちーず。さん(ちーず書店)
…ぐああ(ずきゅーん)(萌え倒れている) こんな運命の出会いをしたいのである! 羨ましすぎるのである! 当初の「邪な野望」はどこへやら(笑) でもいいのだ! 相思相愛サイコー! (感想になってないな……)

覆面作家企画7・Fブロック感想


 参加させていただいている「覆面作家企画7」、ようやくFブロックに辿り着きました! (またまた、推理までは至っていません……orz)

F01 空蝉ばかりが残された
 …かつて共に切磋琢磨した友たちはそれぞれの道を歩み、主人公一人が武の道を進む。一番下手だった自分が師範という立ち位置にいるのは、己の剣が上達したからではなく、自分より上位にいたものがみな「卒業」したからこそ――。何某かの習い事をしたことがある人間なら、きっと誰でも一度は経験する思いだなあ、と。
 才能に秀でた人ほど、あっけなく習得して、そしてあっけなくその道を切り捨てる(ように周囲には見える)。そして、こちらが血の滲むような努力の末にようやく追い越したかと思ったら、「もうお前には敵わないな」なんて、平気で言ってくる。あの「お前が言うか!」「そう思うならなぜやめた!」という悔しさと妬ましさ。
 それでも、渦巻く感情の果てに「道の先」を見出そうとする主人公・瑠璃の芯の強さがいい。

F02 名前のない色
 …「性同一性障害」とはまたちょっと方向性の違う「自分らしさ」。「性に拘らない」「自分らしくいたい」という思いというのは、意外にも「性同一性障害」よりも理解されないものだったりする、気がする。
 また、女性がズボンを履いて髪をショートカットにしても「ボーイッシュ」「ファッション」で済まされるのに、男性が長髪にしてスカートを履くと「女装」としか認識されないのは悲しい。(最近は大分緩和されてきた気もするけど)(百年くらい前だと、女性のそれも「男装」「みっともない」と言われていたのだけどね)
 しかし、この主人公・アキナが本当に求めているのは「そのままの自分を受けとめてくれる人」であり、意外にもそれはすぐそばにいた、というのが、読後感が良い。

F03 鐘山に迷う
 …蛍火の儚さと美しさが際立つ作品。歴史書を紐解くような堅めの文章がそれを静かに形作っている。

 あ、他から指摘あったかもしれないけど、「二」の20行目、「男の郷里である?県」、「三」の6行目「己は明州?県の出身」になってしまっていますが、これは機種依存文字で出なかったのかもな……。

F04 子連れ天使
 …裏稼業に手を染めていた主人公が嵐の中でばったり行き会ってしまった、難儀している母子。仕事に差し障るから、と仕方なく助けたことが、主人公の行く先を変える、かもしれない。しかし、これは主人公による「ちょっと盛り過ぎた解釈」なわけで、「裏稼業」だのなんだのを抜きにして考えると、この女性は相当に天然な「図々しさ」を持っていて、ちょっとこの先が心配かな……(汗)

F05 異説クリュタイムネーストラー
 …ギリシャ神話キター!! カストルとポルックスはふたご座の逸話があるので割と有名だけど、実は4兄弟だったとは……。
 運命に翻弄され続けた女性。しかし一番愛していたのは妹ヘレネー。稀代の悪女と記された彼女の行動が、このヘレネーへの思いを要石として繋がっていく。それにしてもゼウスは騒動の種をまき過ぎだ……。

F06 イ●カに●った●年
 …タイトルに反応した世代デス(笑) お宝を巡るドキドキワクワクの冒険譚!? と思いきや意外にもSFだったー! オチが分かってから読み返すと、それまで思い描いていた情景ががらっと変わるので二度楽しめる。

F07 光の真実
 …エレメンタルなお話。これは自分の創作でも、色々と自説を書いているので、非常に興味深く。しかしおちゃめなお師匠様&光の精霊さん♪ 見事に煙に巻かれた弟子はいつ頃「騙された~!」って絶叫する羽目になるんだろう(^^ゞ

F08 ねがはくは花のもとにて...
 …タイトルから古典かと思いきや、SF! 生活感のあるSF、大好きだなー。
カスタマイズ可能な人工頭脳は、どこか現代のボーカロイドを思わせる。旧世代となり、あれこれガタが来てしまった「彼女」だけれど、「家族」をおいそれと取り換えられるわけもないよね。

F09 虹色クジャクと北の森
 …パステルで描かれた絵本のような作品。クジャク人・ラークの、美しい見てくれとは裏腹な軽快さがまた良い。ユキリククラゲおいしそう~\(^o^)/

F10 聖泉鏡
 …この場合の「泉」は心というよりは魂そのものだろうか。澄んだ泉のような魂を保ち続けるのはきっと難しい。それは風に揺られ、雨に乱され、嵐に弄ばれて、時に波立ち、濁り、そして時には枯れてしまうこともある。
 キャラと設定が立っているので、短編で終わらせてしまうのはもったいないなと思わせる作品。色々な事件に巻き込まれ、時に苦しみ、時に悩みながらも解決していく彼らをもっと見てみたい。

F11 空の歌を捧げる歌姫の最後
 …このお話、好きー!! 歌姫に依存し、歌姫の人生を犠牲にして成り立つ世界。しかし、本当に必要だったのは歌姫そのものではなく……という、絶望から希望へとつながる展開が読んでいて気持ちいい。最後の一文と、そこから繋がる作品タイトルがまた見事。

 これで、自ブロック以外の感想は終わりです。推理は、私には無理……っ! 難しすぎる……!!
 探偵の皆様方の慧眼に慄きつつ、正解発表の日を楽しみに待ってまーす!

 自ブロックであるAブロックの感想は、正解発表後にアップします♪

覆面作家企画7・Eブロック感想


 参加させていただいている「覆面作家企画7」、Eブロック感想など。 (またまた、推理までは至っていません……orz)

E01 会長の戸隠~高原学園生徒会記録~
 …現代版「天岩戸」! 全体的に日本神話を下敷きにしているけれど、「転校生が~」という釣り文句で出てきちゃったあたりは、天照大神よりも慎重かつ仕事熱心な気がする(笑)

E02 ヒロイック・ガーリッシュ
 …冒頭を読んで、うっ怖い話かと身構えたけど、強い日差しの中で色彩だけがくっきりはっきり強調されて時間は緩慢に進むような映像が浮かぶお話。
 主人公が過去に負ったトラウマを、力強く照らし尽くす友人・美月ちゃんこそが、まさに光。
 全体的に、地の文が一人称視点と三人称視点を行ったり来たりしてしまっているので、ここはぜひ全部一人称で突き進んでいただきたいところ。

E03 明日の行方
 …見知らぬ老人との出会いで救われた青年。しかし、その老人もまた、青年に救われていた。昇りゆく朝日が「命」「希望」のように、象徴的に煌々と輝いている。最初から最後まで、きっちり映像で脳内再生できました。素晴らしい。

E04 殺人調書記録、あるいは初恋の甘い輝き
 …調書という形で綴られる、事件のあらまし。いやあほんとにサイコパス……(褒めてます)。妄想もここまで行くと恐怖しかない……。そして何が怖いというのは、恐ろしいほどに身勝手な妄想の果てに殺人まで犯した人間が、自分の前夫について「気持ち悪い性癖を持ってて云々」と吐き捨てているところ。「お前が言うか!」っていう……。「すべてがおかしい」のではなく「常識的な感覚も持っているのに、一部分だけ異常なほどにおかしい」方が、よほど怖いんだなって。

E05 身代わり
 …話の主人公「身代わりにされた男」は、最後まで名前すら語られないまま。
  身代わりを差し出して、永遠の牢から出ることができた「暁王」は、その後どうなったのか。そこまでは語られていないけれど、エピローグの語られ方からして、恐らくは歴史の闇に消えていったのではないか。
 暁王を主人公に据えて描いていたら、また全然違う話や切り口になったのだろうけれど、そこを敢えて「身代わりの男」視点で描いたことで、途方もない絶望ともの悲しさが強調されている。
 光が輝くのは、闇が深い時。そんな言葉を思い出させるお話。

E06 娑婆電光クロスロード
 …御伽草子を紐解くような、薄い闇の中を覗くようなお話。行き違う人の子と物の怪。だからこそタイトルがクロスロードなのか。
 語り手は物の怪――かと思いきや、最後に意外な正体(?)が姿を現す。

E07 暗夜航路 Eclipse route
 …冒頭から「鱗の身分証」なるワクワクする単語が出てきて、一気に世界へ引き込まれる。ファンタジーかと思いきやばっちりSF。ルルールの間延びした話し方が可愛い。情報量が詰まっていて、脳味噌からこぼれてしまう。これはもっと長い長いお話として読みたい。

E08 電子レンジ、ひかる!
 …お馬鹿な叔父さんにちゃんと分かるように話している甥っ子ちゃんが生真面目でいい(笑) そして宿題の最終形態がとんでもないことになってるけど、よく読むと結構わかりやすくて面白い(笑)

E09 光の先へ
 …それは人にとって救いの光なのだけれど、少女にとっては「必死に生きてきた日々を否定するもの」だった。
 餓えもせず怪我もしない、満ち足りた空間でただ漫然と生きるより、闇の中を選んだ少女は、その後どうやって生きたのか。想像を掻き立てられる。

E10 彼は暗い夜雨の中に差し込んだ、一条の月の光のようだった
 …とにかく脳裏に展開する情景が美しい。暗闇に咲き乱れる紫陽花。少年の真意をかなえるために、敢えて相反する道を選んだ少女。対峙する二人の表情、そのわずかな呼気までもがはっきりと感じ取れる。描かれていない結末とエンディングテロップまで見えた気がした。これは文章を超えて、すでに映像作品だ。