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date :2013年07月

《gilders》SS・ナミダ

 前の記事に引き続いてもう一つリクをいただいた「リダ」なんですが、その時呟いたネタがすでにサイト既出だったという(笑) 

 正直、リダは「泣かない」キャラとして設定しているので、シリアスな話では泣くシーンは出てこない(匂わせるような描写はあっても断定はしない)んですが、ギャグならいくらでも出てきますね。

 というわけで、一つ思いついたネタをどうぞ(笑)





「もう、いやー!!」
 厨房から聞こえてきた魂消るような絶叫に、びくっと肩を震わせる。
 いい食材が手に入ったから、などと言って宿の女将さんに頼み込み、厨房にこもってからすでに一刻は過ぎている。
 それにしては一向に、いい匂いも漂ってこなければ鍋がぐつぐつ煮える音も聞こえてこないので、これはそろそろ逃げておいた方がいいかな、なんて思っていた矢先の出来事だった。まったく、神様はすべてお見通しということだろうか。
「――リダ? どうかした?」
 覚悟を決めて厨房を覗き込むと、驚いたように振り返った彼女の両目から迸る、大粒の涙――。
 いつもは空のように輝く青い瞳が、今は嵐の海の如く荒ぶっている。
「ギル、入って来るなって言ったでしょ!」
 大慌てで目を擦ろうとするその手を慌てて掴んで、ため息を一つ。
「……リダ、玉ねぎをこんなに刻んで何を作る気……?」
 まな板の上には、小山の如く積みあがった玉ねぎの乱切り。そして咄嗟に掴んで止めた手には、まさに今から無残に切り刻まれようとしていた玉ねぎの大玉。
「南の方の煮込み料理よ! 大量の玉ねぎを刻んで炒めると美味しいっていうから!」
 だからって、玉ねぎが目に染みて大泣きするまで刻み続けなくてもいいと思うんだけど……。
 しかしまあ、滅多に料理などしようとしない彼女が、珍しくも手料理を振舞ってくれる気になっているのだから、このくらいの失敗は大目に見るしかない。
 ……というか、こんな珍しい光景を拝むことが出来たのだから、むしろ玉ねぎに感謝するべきかな?
「手と顔を洗ってきなよ。俺も手伝うから。これじゃ夕飯までに終わらないでしょ」
「し、仕方ないわねっ! そこまで言うなら手伝わせてあげるわよ!」
 押し付けがましい台詞を吐きつつ、前掛けを翻して井戸へと向かうリダ。これで少しは時間が稼げるだろう。素早く腕まくりをし、ついでに鼻から下を布で覆ってから、大量の玉ねぎへと向き直る。
「さ、早いとこやっつけるか」
 リダが戻ってくるまでに、可哀相な玉ねぎの乱切りを、せめてみじん切りへと進化させてやらなければ、美味しい夕飯にはありつけない。
 彼女の努力を無駄にしないため、そして自身の夕飯を確保するためにも、ここは腕の見せ所だ。手際よく包丁を振るいつつ、はてと首を傾げる。
「……それにしてもこれ、一体何の料理なんだろう?」
 玉ねぎの隣にずらりと並んだ食材は、人参にじゃが芋、鶏肉と、そしてたくさんの香辛料――。
「……まともなものが出来上がりますように……」
 そっと神に祈りつつみじん切りを終えたところで、賑やかな声が戻ってきた。
「待たせたわね! さあ、とっとと作るわよー!!」

 



(《gilders》SS・ナミダ)


 蛇足な解説はたたんでおきます(^^ゞ


 

でんたまSS・cry

 昨日7/9は「泣く日」だそうで、ツイッター上で「#7月9日で泣く日なのでリプで指定されたうちの子泣かせます」というハッシュタグが出回っていたので、つい惹かれてキャラを募集しましたところ、真緒さんから「ラウル(断言)」というご指名を頂きまして!

 最初は「(泥まみれの子供服を洗濯板で洗いながら)俺……このままここでずっとあいつの面倒見てるうちに、じーさんになっちまうのかな……(くぅっ!)」みたいな男泣き」みたいなのしか浮かばなくて笑い転げてたんですが、孤児時代じゃないのかというお言葉に、ぽろっと思いついたネタを一晩経ってSSにしてみました(^o^)

 あまりに短いので、この手のはこちらの「MEMO」で公開して、そのうち溜まったらサイトにまとめてアップしますね。

 んでは、SSをどぞー。





 あいつはいつだって大声で泣いていた。

 この街の住人は泣くことをしない。ここでは誰が泣いていようと手を差し伸べるような奴はいないし、泣けば泣くだけ痛い目に合う。それなのにあいつは懲りずに泣いた。大声で「お母さん」と泣いていた。

 そういえば、近頃あいつの泣き声を聞いていない。そう気づいた時には、あいつの姿は街から消えていた。
 なに、この街ではよくあることだ。弱い奴から消えていく。あいつはこの街で生きるには弱すぎた。ただ、それだけだ。
 それなのに――この目から零れる水は、なんなんだ――?
 


(でんたまSS・cry)


 蛇足な解説はたたんでおきます(^^ゞ

迷ってます

 前記事の「お題de合同本企画」に出すネタですが、あまりに筆が乗りすぎて(笑) 予定の倍以上のページ数が予想されることになってしまい、合同本でそれはないだろ、というノリツッコミのもと、別ものとして個人誌で出そうか、考えております。

 その場合は、「お題de~」に出すのは「Tales of Farn」外伝となります。こっちももう半分は書きあがっていて、これなら予定枚数でちゃんと収まる……はずなのです。

 もうちょっと書き進めてみてから、どっちを合同本に載せるか決めたいと思います。

 それまで、サイトの更新が滞ってしまいますが、なにとぞご容赦のほどを<(_ _)>

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