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date :2013年09月

SS・名月を……

「なあ、これって何て読むんだ?」
 カレンダーに小さく記された漢字を指さして小首を傾げてみせるアリスンに、どれどれと歩み寄る。
「ああ『中秋の名月』だよ。今日は満月なんだね」
「チューシュー?」
「ジャパンエリアで昔使われていた暦でいう、八月十五日のこと、だったかな。その日にお月見をする風習があったそうなんだ」
「はあ? 月見?」
 アリスンが呆れ顔になるのも無理はない。だって、ここは――。
「月から、どうやって月を見るってんだよ!?」
 そう、ここは月面都市《LUNA-01》。ドームの向こうに輝くのは白い月ではなく、青い地球だ。

 ドーム型の天井に覆われた月面都市《LUNA-01》の空は、昼と夜とでまったく様子が異なっている。
 昼間はCG処理された空の映像が映し出されているが、夜になると実際の宇宙をそのまま透かして見ることが出来るようになっているのだ。
 だから今夜も、空には漆黒の宇宙空間が――。

「月だ!」

 ぽかん、と大口を開けて、空を見上げるアリスン。辺りを見回せば、ほとんどの人間が彼と同じ反応を示している。
「なんで、月が……?」
 夜空にぽっかりと浮かぶ、大きな満月。逆さの兎が餅をつくさまも、はっきりと。

「だって、今日は中秋の名月だもの!」

 明るい声に振り返れば、そこにはえっへんと胸を張る金髪の美少女。
「レミーの仕業だね?」
「仕業って言い方、酷くない?」
 ぷんぷんと怒ってみせるレミーだが、すぐに機嫌を取り直して、得意げに声を張る。
「だって、折角のお月見なのに、月がないんじゃ面白くないでしょ? だからクラリス達に協力してもらって、人工衛星からの映像を中継して空に映してもらったの!」
 なるほど、種を明かせばどうということはない、簡単な仕掛けだ。
 それでも、まるで月の魔法に魅入られたかのように、人々は空を見上げ、うっとりと言葉を交わす。
 そんな人々の様子を見て、嬉しそうに微笑むレミー。

 かつて、祖父に「おつきさま、とって」とおねだりしたという彼女。
 この月面都市《LUNA-01》は、その幼子のおねだりから生まれたと言っても過言ではないという。

「月から見る月も、いいものよね!」
 
 この嬉しそうな顔を見たいがために、巨万の富を投げ打って月を手に入れた男の気持ちが、少しだけ分かる気がする。

 そう、彼女こそは『現代のかぐや姫』。
 彼女こそが、闇夜に輝く光なのだ。


 Fin.

キャラ全身図


「でんたま」登場人物紹介に「キャラ全身図」というカテゴリを新設しました。

 自分用備忘録&ファンアートを描いてくださる心優しい方々のための設定資料となります。

 以前にweb拍手で使っていた全身図を流用しましたが、あまりにも絵が古すぎて使えないものもあったので、とりあえず使えそうなキャラだけピックアップしました(^_^;)

 「このキャラの全身図を!」というご要望がございましたら、ぜひお寄せください(^^ゞ

 今までに何度か、イラストや漫画を描いてくださる方のために資料を作っていたのですが、みんな鉛筆書きのラフ画で読みにくいったら(>_<)
 ユークの神官衣の詳細とか、そのうちもっとちゃんと描きます……。ちなみに、位が上がると衣装も変わるので、ダリスさんはまた違う服を着てるんですよ……(>_<)

140字SS・「画面」「楽しみ」

 本日の140字小説は「画面」と「楽しみ」がテーマ。画面というお題が入っている時点でファンタジー系は無理だろうと判断しました(^_^;)





 画面の中を所狭しと飛び回る、透き通った羽。
 あまねく星々に夢と希望を届けるため、『宇宙の妖精』は今日も美しい歌声を響かせている。
「予約完了、と」
 半月後の配信が今から楽しみだ。

 ――艦内BGMがドクターのリクエストで占められていることを知っているのは、セシリスのみだ。




 解説は以下に。

140字SS・「音」「嫉妬」

 本日の140字SSは「音」と「嫉妬」がテーマ。





 礼拝堂の扉から漏れ聞こえてきたその声に、思わず足を止めた。
 それは神を讃える歌。天に捧げる祈り。
 複雑な音韻と旋律を一つも外さず、それでいて鼻歌でも歌っているような軽やかさ。
 心洗われるはずの歌声に、胸に渦巻くは嫉妬の炎。
 なぜ神は彼を選ぶのか。
 ――なぜ、私は選ばれないのか。





 解説は以下に。

140字SS・「金額」「吐息」

 本日の140字小説は「金額」と「吐息」がお題。




天鵞絨の波に浮かぶ、色とりどりの宝石達。
何度見たところで値札の零が一つ減ってくれるわけもなく。
財布を広げ、小さい吐息を一つ。
「出世払いで頼むわ」 
「ジョーダンきついネー。このくらいノ金額、ポンと払えるようじゃナきゃ困るヨ?」
「じゃあ、この子で」
「またかよ、リダ!!」




 解説は以下。

140字SS・「数」「退屈」

 本日の140字小説は「数」と「退屈」がテーマ……って、また「退屈」が出た(^_^;)




「イサオ、何やってんの?」
「画面に出てくる羊を数えるだけの簡単な依頼だよ?」
「……退屈しねえ?」
「うん。今にも寝ちゃいそうだね」
「そりゃそうだろうな……」
「レア羊がちゃんと出るかを確認しなきゃならなくてさ」
「確率は?」
「1/30,000だったかな?」
「……頑張れ」




 蛇足な解説はたたんでおきまーす。

9月になったので……


 残暑お見舞いを下させていただきました。
 シークレット絵だけ、「でんたま」TOPページの「Image Illustration」内に収めさせていただきました。

 只今、「月に捧ぐ歌」の続きを鋭意執筆中でございます(^o^)

 10月のコミティア合わせの本はもう、自分の原稿は脱稿しておりますので、あとは編集→印刷所へ回す、という作業を残すのみです。

 ひ、表紙で頭を悩ませ中……(>_<) どこかにデザインセンスって落ちてないですか!

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  • Author:seeds
  •  オリジナル小説サイト「星明かり亭」を運営するへっぽこモノカキ(^^ゞ
     猫好きだが猫アレルギー……orz

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