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date :2017年07月

Twitter300字ss・「渡す」


 300字という字数内で一週間掛けて完結した小説を書き、それを公開して交流や宣伝に役立てようという「Twitter300字ss」。第三十四回目のお題は「渡す」です!


『合鍵』

「はい」
 まるで新聞でも手渡すように、ひょいと差し出されたのは、一本の鍵。
「なんだよ、これ」
「鍵だけど?」
「んなこたぁ分かってら! なんで俺がこの店の鍵を持たなきゃならねえんだ!」
 そもそも、この店の扉に鍵などついていただろうか。訝しむオルトに、店主は得意げに胸を張った。
「女の子が寝泊まりする家に鍵がかからないのは不用心だと思って」
 とても、壊れかけた扉を一年も放置していた人物の発言とは思えない。
「鍵があれば、いつでも入れるでしょ」
 これで安心して昼寝が出来る、と手放しで喜ぶ店主に、やれやれと頭を掻く。
 信用してるから、などとは決して言わないくせに、こういうことを平気でやるから、この男は油断ならないのだ。



『カササギ』

 連結橋を接続する時は、いつだってドキドキする。
 小型宇宙船とコロニーを繋ぐ白い連結橋。ナビゲーターの指示に従って停止し、ゆっくりと伸びてくる武骨な「翼」を、今か今かと待ち構える。
『こちらコントロール。《カササギ》の接続を確認。これよりハッチを開けます」
「了解!」
 返事をするのももどかしく、ブリッジを飛び出して薄暗い廊下をひた走る。
 三重の機密扉の向こう、細長い通路の先にはきっと――待ち焦がれた君がいる。

「お帰りなさい、あなた!」
「ただいま、奥さん」

 コロニー《ベガ2》と外宇宙船《アルタイル》を繋ぐ連結橋。その名の由来は、もう誰も知らないけれど。
 失われた神話をなぞるように、一年に一度の逢瀬は果たされる。





『合鍵』
…拙作『世界樹の街』シリーズ(仮)(だんだん短くなっていく仮シリーズ名w)より、骨董店の合鍵を渡されるオルト君の巻。
 テキレボ5頒布のコピー本「垂れ耳エルフと世界樹の街」をご覧の方はご存じの通り、オルトが配達員として骨董店に通い始めた頃から、骨董店の扉は壊れていて、蹴り飛ばさないと開かない仕様でした(笑)

 春になってようやく直したようですが、その時はまだ鍵がついていなかったはず。
 自称・魔導人形ちゃんが転がり込んできてから、急遽取り付けた模様です。

 骨董品が数多くあるのに不用心すぎやしないかと思いますが、そもそもあの店にあるのは「普通の人には価値が分からない」ガラクタばっかりな気がする……。

『カササギ』
…七夕の神話をSF風味に味付けてみましたヽ(^。^)ノ
 実は「渡す」というお題を見た時、最初に思いついたのは「橋渡しをする」で、そこからこういう流れに。
 遥か未来、遠い宇宙の果てで。失われた神話をなぞるように。
 

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     猫好きだが猫アレルギー……orz

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